上田小県地域の神社
半年間の罪、穢れ、いっさいの災いを祓う6月の大祓式
延喜式内名神大社 生島足島神社
6月30日、延喜式内名神大社 生島足島神社で夏越の祓(なごしのはらい)【6月の大祓式】が行われました。
今回の夏越の祓には例年を上回る約250名の皆さんが参列しました。
また、「生島むすび」(塩おむすび)が用意され、大祓式の後、参列された皆さんに頒布されました。
【性善説】
神道では人の根本は善であるとされ、孟子の道徳説の根本にある『性善説』です。
『性善説』によれば、人は生まれたときは清く、本来善への可能性が内在していてその兆しを惻隠(そくいん)、羞悪(しゅうお)、辞譲(じじょう)、是非(ぜひ)の4つの情があり、四端(したん)といいます。
この四端を拡充することで人は仁・義・礼・智(じん・ぎ・れい・ち)という4つの徳を成すとされています。
・惻隠(そくいん):あわれみいたましく思うこと
・羞悪(しゆうお):罪や悪を恥じ憎むこと
・辞譲(じじよう):謙譲であること
・是非(是非):善と悪を判断できること
【大祓式の起源】
大祓式の起源は古事記などの記紀神話に書かれている伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が黄泉の国から戻った時に行った禊祓い(みそぎはらい)が起源とされています。
性善説にある人間でも、知らず知らずうちに罪を犯し、穢れを身に付けてしまうとされています。大祓式はその身に付いた罪、穢れを祓い、心身共に健全に過ごせるように半年に一度(6月30日、12月31日)に宮中や全国の各神社で行わる祓いの儀式です。
また、6月の『夏越の祓い』では茅(かや)や藁(わら)を束ねた茅の輪が立てられ、それを3回くぐり、無病息災を祈ります。
※茅(かや)とは、茅萱(ちがや)菅(すげ)薄(すすき)の総称です。
【おまけの話し】
黄泉(よみ)の国より戻り、禊をした伊耶那岐命(いざなきのみこと)が最後に左目を洗うと太陽神『天照大御神』(あまてらすおおみかみ)が生まれ、右目を洗うと月の神『月読命』(つくよみのみこと)が生まれ、鼻を洗うと海の神『素戔嗚尊命』(すさのおのみこと)(建速須佐之男命:たけはやすさのおのみこと)が生まれた。
手水をとり、参進する前に神職及び関係者は社務所前に整列して、一礼(拝揖)をし、祓所(はらえど)へ向かいます。
※祓所(はらえど)とは通常の祭場とは違う場所に忌竹を立てた斎場(いつきば)となります。
神職並びに氏子総代の方々が社務所前にて一礼
結界で囲まれた祓所には先に祓いを受ける参列者の皆さんが整列し、大祓式の開始を待ちます。
太鼓が打ち鳴らされ、夏越し祓が始まりました。
祓所へ向かいます
結界が張られた祓所
神職並びに神社関係者が祓所の所定の位置に付きます。
始めに神職、神社関係者、大祓式に集まった参列者に和紙に包まれた「人形」(ひとがた)と「切麻」(きりぬさ)が配られました。
和紙に包まれた「人形」と「切麻」が配られる
大祓式は大祓詞の奏上から始まりました。
※大祓詞とはたくさんある祝詞のひとつで日本人古来から持つ考え方の自らの心身の穢れ、諸々の罪や過ちを祓う祝詞(のりと)をいいます。
大祓詞の奏上
参列者は低頭して大祓詞を聞く
大祓式では「木綿」(ゆう)と「麻」(あさ)が罪や穢れを祓う祓具として用いられ、それを神職によってかけ声とともに8つに引き裂いて穢れを祓う「烈布」(れっぷ)の儀式があります。
これは大祓詞の中に「八針に取り裂きて・・・」という節があり、それにちなんでいるそうです。
神職によって「木綿」と「麻」が引き裂かれる様子
先に配られた和紙の包みを開き、「切麻」(きりぬさ)を左肩、右肩、左肩の順番で身体に振りかけます。
次に人形で頭のてっぺんからつま先までなぞり、半年間の知らず知らずのうちに犯してしまった罪や穢れを
「人形」に託します。そして「人形」に息を3回吹きかけて、先程の和紙に包み自分以外の人が触れないようにして神職に渡します。
「人形」と「切麻」
集められる「人形」
榊に紙垂(しで)が付けられた「大麻」(おおぬさ)で神職が祭壇、参列者、場所、茅の輪を祓い清めます。
祭壇の祓い清め
神職、神社関係者の祓い清め
参列者の祓い清め
茅の輪の祓い清め
集めあれた罪、穢れを託された「人形」や祓い使われた「大麻」は神職によって一つにまとめられました。
まとめられた包みは境内の外にすぐに運び出されました。
神職が戻ると、茅の輪をくぐるため参列者は一列となり茅の輪に進みます。
神職を先頭に並び、くぐる度に唱え詞(となえことば)を唱えながら茅の輪くぐりをします。茅の輪は3回くぐりますので3つの唱え詞を唱えられます。
※1回目:【拾遺和歌集】巻五、詠み人知らず、2回目:【後拾遺和歌集】巻二十、和泉式部、3回目:【蘇民将来、蘇民将来】
【茅の輪のくぐり方】
まず、一礼し進行しくぐります(1回目)、くぐり抜けたら円を描くように左に廻り正面に戻り、一礼し、茅の輪をくぐります(2回目)、くぐり抜けたら今度は右に廻り正面に戻り、一礼して茅の輪をくぐります(3回目)そしてまた左に廻り正面に戻り一礼して終わります。
【茅の輪の起源】
神話で『素戔嗚尊命』(すさのおのみこと)が旅の途中で宿を求め家をさがします。“将来”という兄弟がいて裕福な家の“巨旦将来”(弟)泊めることを断りました。貧しい家ではありましたが、“蘇民将来”(兄)は快く素戔嗚尊命を泊めおもてなしをしたそうです。
その後、素戔嗚尊命が再び蘇民将来の家に訪れ、茅の輪を腰に着けていれば厄病を免れると告げたそうです。
まもなく疫病がはやり皆死んでしまう中、蘇民将来の家族は救われたという逸話に起源しているそうです。
祝詞の奏上
「茅の輪」くぐり
茅の輪くぐりをしている上田市の後藤さんご家族
あたりはすっかり暗くなり幻想的に
大祓式が終わり、御本社に参拝した参列者に『生島むすび』(塩おむすび)が頒布されました。
今回、頒布された“おむすび”は神様と深い関係のある食べ物で、生島足島神社で握られたおむすびであることから『生島むすび』と名付けられたそうです。
生島むすび(塩おむすび)
「生島むすび」は、清めのお塩を程よくまぶしたおにぎりです。
「むすび」という名は生成・調和の神様に由来し、天照大御神様がお与えくださった、いのちの根「お米」に、強い清めの霊力「塩」を併せました。
当社は大地が御神体です。使われたお米は、天地の神さまの恵みをいっぱい受けた地元産のコシヒカリです。
御代替わりの年の夏越の大祓に、こだわりの「生島むすび」をお頒(わか)ちします。
延喜式内名神大社 生島足島神社より
参列者に頒布される『生島むすび』
一緒にステッカーや飴も用意して頒布
・今回頒布された『生島むすび』は生島足島神社の職員である古川としこさんを始めとした職員さん4名が参列者の皆さんのために、無病息災を願いながら、朝8時からお米20升を炊き、午後3時までかけて500個の『生島むすび』を作ったそうです。有難うございました。
・また、嬉しいことに「まいぷれ上田・東御」で夏越の祓の情報ご覧頂き、参列された方々がいらっしゃいました。
[長野市の松沢さんご夫婦]
「元旦は諏訪大社にいきました。御柱祭にも参加したことがあります。生島足島神社は一度来たいと思っていたのですが、大祓に参列できて嬉しいです。」
[上田市の後藤さんご家族]
「小学1年生になる子供は大変喜んで茅の輪くぐりをしていました。」とコメントを頂きました。
『生島むすび』
生島足島神社の古川とし子さん
頒布された『生島むすび』と飴やステッカー
★ステッカーのキャラクターは生島足島神社にいるアヒルの「ちょーすけくん」とウサギの「もくもくくん」です。運が良ければ境内で出会えます。
生島足島神社では次の順序で参拝されることをおすすめしています。
・御本社(上宮)[案内図1]
・子安社[案内図3]
・摂社(下社) 諏訪神社[案内図4]
・夫婦欅[案内図5]
・家族欅[案内図8]
より丁寧に参拝される方は神島の南にある
・八幡社[案内図13]
・秋葉社[案内図14]
・荒祭社[案内図15]
摂社 諏訪神社の北側にある
・日除欅[案内図10]
ご参考にの「参拝作法と参拝順序[延喜式内名神大社 生島足島神社]」をご覧下さい。
案内図
名称 | 延喜式内名神大社 生島足島神社 |
住所 | 長野県上田市下之郷中池西701 |
連絡先 | 0268-38-2755 |
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