上田小県地域の神社
古式ゆかしい神事、祭事
延喜式内明神大社 生島足島神社の神事や祭事をお伝えしております。
古来より変わらず繰り返される国家、国民の繁栄、安泰を願う神事や祭事が神社では行われています。
今回は令和2年1月から4月に斎行された神事ならびに執行された祭事の一部をお伝えします。
生島足島神社で1月14日(水)御筒粥ト神事 (おつつがゆうらないしんじ)、1月15日(木)に御筒粥卜奉告祭(おつつがゆうらないほうこくさい)、蟇目鳴弦(ひきめめいげん)、蛙狩神事 (かわずがりしんじ)が執行されました。
※1月14日に斎行された『御筒粥ト神事 (おつつがゆうらないしんじ)』は一般公開されない神事です。
社務所前に神職及び参列者が集まります
御本社に向かいます
御本社に入る前に十三社にお参りをし、祓い清めを行います。
御筒粥卜神事は前日の1月14日に神職によって、葦(ヨシ)とお米が炊き上げられた後、葦を割り、粥がどのようになっているかを見てその年の農作物や養蚕の豊饒(ほうじょう)が卜(うらな)われる神事です。
※御筒粥卜祭は非公開で行われます。
卜われた結果はとりまとめられ、翌日の15日に占いの結果を御祭神に報告する神事が御筒粥卜奉告祭です。
卜い結果は“御筒粥卜札”として用意されていまして、誰でも頂くことが出来ます。
所定の場所に神職が着き祭事の始まり
祝詞の奏上
卜いの結果を御祭神に報告
蟇目鳴弦は悪霊を退散させる神事です。“蟇目”とは「矢の先端に空いた穴が蟇蛙(ひきがえる)の目に似ている」、「鏑矢(かぶらや)が放たれたときに蟇蛙の鳴き声に似ている」と言う説から来ているそうです。また、“鳴弦”とは弓の弦を鳴らすことを言います。
御本社内において、東、西、南、北、天、地に矢を射る所作と弓の弦を鳴らす所作が行われ、悪霊を退散させます。次に神池の畔より北東の方角(鬼門)に向かい、鏑矢を放ち、悪霊を退散させます。
鏑矢は縁起物としてご存じの“破魔矢”(はまや)と同じ形をしています。
1・東の方角
2・西の方角
3・南の方角
4・北の方角
5・天の方角
6・地の方角
7・北東の方角(鬼門)に鏑矢を放つ
諏訪大社の御祭神である“建御名方神 ”(たけみなかたのかみ)は竜神、蛇神の姿として描かれています。蛇は“建御名方神” の化身とされています。
蛙は水田などの土手を崩したり、穴を開けたりする厄介ものとされていて、蛇は蛙を見つけると丸呑みするとされているそうです。蛙狩神事はそんな蛙を退治しする神事です。
諏訪大社上社本宮では年のはじめに蛙狩神事が執り行われます。
生島足島神社は諏訪大社と深い繋がりがある神社で、生島足島神社には下宮として摂社:諏訪神社があります。
生島足島神の蛙狩神事はウツギ((空木)卯の花)で作られた弓と矢を以て斎行されます。御神橋から神池に東の方角、続いて西の方角に矢が放たれ、蛙を射る所作が行われます。矢が放たれたのちに弓も神池に放られます。
ウツギは邪鬼、悪霊を追い払う力があるとされています。“夏は来ぬ”の歌詞にも「卯の花の匂う垣根に・・・」という一節があるように境界樹などとして植えられていたそうです。
ウツギの弓と矢が神前より運ばれます
1・東の方角に御神橋から神池に2本矢が放たれます
2・続いて西の方角に2本矢が放たれます
東と西に矢が放たれた後、弓も放たれます
神池に一礼
宮司玉串拝礼
氏子総代者の玉串拝礼
神前より“御筒粥ト札”が運ばれます
御本社前に置かれる「御筒粥卜結果」
生島足島神社で2月3日(日)に節分追儺祭(せつぶんついなさい)が斎行されました。
連日寒い日が続いていましたが、この日は穏やかに晴れ、寒さも少し和らいだ1日でした。
節分は立春の前日(2月3日)が有名ですが、本来は季節の変わり目となる日の前日を節分と言い、立春・立夏・立秋・立冬の前日にあたります。
中でも立春は寒い冬から春になる季節の変わり目で、旧暦では新しい年を迎える前日であることから特別な節分になります。簡単に言ってしまえば昔の大晦日にあたります。
追儺は節分行事として定着しています。もともとは中国から伝えられた習俗だそうで、平安時代に宮中で大晦日に行われた“鬼払いの儀式”が起源だと言われています。昔は病気や災難などの災いは鬼がもたらす事だと考えられていたそうです。
立春の節分の時、新しい年を迎えるにあたり病気や災難、邪鬼などを追い払って穏やかで豊作な年を願って行われたそうです。また、豆を撒くのは「魔目」魔(鬼)の目に豆をぶつけて「魔滅」魔(鬼)を滅ぼすと言うことだそうです。
御本社に向かう一行
節分追儺祭神斎行にあたり修祓(お祓い)が行われ、献饌が供えられ、宮司一拝の後、祝詞の奏上がされました。その後、宮司、神職が玉串拝礼をしました。
修祓(お祓い)
神饌がが供えられる
祝詞の奏上
宮司、神職が玉串拝礼
続いて、参列者が玉串拝礼をしました。
※裃姿の参列者は上田出身の政治家、行政関係者、企業の代表者、氏子総代者など“鬼やらい豆撒き”を行う方々です。
最後に神前にて宮司にならい一同一拝し、御本社での神事は終了となりました。
神事に続き、生島足島神社追儺祭に長年功労された方々の表彰式が行われました。
参列者の玉串拝礼
一同一拝
生島足島神社追儺祭に長年功労された方々の表彰式
午後3時になり、宮司を先頭に裃姿の方々が櫓に上ると、既に境内には昨年を上回る大勢の方々が訪れ豆撒きを待っていました。
松沢氏子総代長の挨拶とかけ声で豆撒きが始まりとなりました。今年は樋口巫女さんが年女ということで豆撒きに参加しました。
撒かれた豆袋にはくじが入ったものもあり、幸運にも取り当てた方は色々な景品と交換されていましてたいへん賑わっていました。
挨拶する松沢氏子総代長
豆撒きの様子
神楽殿では横山巫女さんが訪れた人々に御神酒やお菓子の振る舞いをされていました。
御神酒やお菓子の振る舞う横山巫女さん
賑わう景品交換所
4月18日に『御移神事(おうつりしんじ)』、『諏訪様還座祭(すわさまかんざさい)』が行われ、翌19日に『諏訪社例祭(すわしゃれいさい)』、『御本社春季祭(ごほんしゃしゅんきさい)』が行われました。
生島足島神社の籠殿(こもりでん)に毎年11月3日に建御名方富命(たけみなかたとみのみこと)こと諏訪神が籠殿に遷られ、約半年の間、7日に一度粥を炊き諏訪神が生島神足島神に献飯する「御籠り祭」が内殿で行われます。※奉仕するのは神職が行います。
内殿は現本殿の内部にある旧本殿の建物で一般に見ることは出来ません。また、御籠り祭の神事は神秘とされており、こちらも一般に見ることは出来ません。
『御移神事』、『諏訪様還座祭』は諏訪神が生島神足島神に半年間の奉仕を終え、諏訪社の御座に還座される祭事です。
そして4月に建御名方富命は摂社諏訪神社(下宮)に遷られ、諏訪に戻られます。
神殿に向かい一拝
祝詞の奏上
灯りが消され、警蹕(けいひつ)が掛けられる中、本殿の扉が開けられました。
木綿鬘(ゆうかずら)を付け、木綿襷(ゆうだすき)をかけた神職(禰宜・権禰宜)によって御神体は神前にある唐櫃(からひつ)にて御移りされました。
神紋があしらわれた布で覆われた唐櫃は、御本社本殿(上宮)から摂社諏訪社(下宮)に向かいます。
【警蹕(けいひつ)とは】
「お~」と神職が発する独自の声で祭祀に参加している者に対して、畏(かしこ)みを促すものです。
【木綿(ゆう)とは】
楮(こうぞ)の樹皮を蒸して水にさらし,細く割いたものです。
神事では幣帛(へいはく)として神様に捧げたり、紙垂(しで)として榊につける木綿垂(ゆうしで)などに使われます。冠に懸けたものを木綿鬘、襷に使用したものを木綿襷と言います。
御本社本殿から遷られる御神体
御神橋を渡る様子
摂社諏訪神社(下宮)
[御祭神]
八重事代主命(やえことしろぬしのみこと)
建御名方富命(たけみなかたとみのみこと)
八坂刀賣命(やさかとめのみこと)
御本社本殿(上宮)を出発した御神体は摂社諏訪神社(下宮)に到着しました。
警蹕が揚げられる中、御扉が開けられ、建御名方富命(諏訪神)が還座されました。
神前に献饌(お米、酒、塩をはじめ、海の幸、山の幸などの神饌)が供えられました。
続いて、神前にて池内禰宜により祝詞の奏上がされ、玉串を奉り拝礼し、神職がそれにならい拝礼、続いて参列者は代表が神前に進み玉串を奉り拝礼するのに合わせて拝礼をしました。
摂社諏訪神社に御神体が到着
御神体が社に還座される
玉串を奉り拝礼(宮司・神職)
玉串を奉り拝礼(参加者)
神前に向かい一拝
祭事の終了
前日の4月18日『御移神事』、『諏訪様還座祭』の翌日19日には摂社諏訪神社(下宮)で『諏訪社例祭』が行われました。
祭事は始めに修祓(祓い清め)が行われ、警蹕が揚げられる中、摂社諏訪神社の御扉が開けられました。
池内禰宜が一拝し、献饌、池内禰宜の祝詞の奏上、玉串奉り拝礼と続いて神職が拝礼、続いて参列者代表が神前にて玉串を奉り拝礼、その他の参列者も合わせて拝礼しました。
祭事の終わりにあたり、摂社諏訪神社の御扉が閉められ、池内禰宜にならい神職、参列者が一拝し、『諏訪神社例祭』は執行されました。
一同は御本社本殿(上宮)に向かいました。
池内禰宜にならい神職、参列者が一拝
御本社本殿(上宮)に向かう一同
修祓(祓い清め)で神域と神職及び参列者が祓い清められた後、御本社本殿の所定の座につきます。神事の開始が告げられ、池内禰宜が神前にて一拝に合わせて、神職及び参列者が拝礼をしました。
続いて、神前にて池内禰宜により祝詞の奏上がされ、玉串奉り拝礼、続いて神職が拝礼、参列者代表が神前にて玉串を奉り拝礼、その他の参列者も合わせて拝礼しました。
祭事の終わりに池内禰宜にならい神職、参列者が拝礼し、『御本社春季祭』は執行されました。
所定の場所
祝詞の奏上
玉串拝礼(池内禰宜・神職)
玉串拝礼(参列者)
一拝
生島足島神社 恒例祭の案内
境内の案内図
名称 | 生島足島神社 |
住所 | 長野県上田市下之郷中池西701 |
連絡先 | 0268-38-2755 |