「まいぷれ上田・東御」取材レポート
音楽療法というアプローチ
「まいぷれ上田・東御」にショップ掲載しているHappicoL(ハピカル)さんは音楽療法の活動をしています。音楽療法士でもある代表の柳澤美夏子さんが上田市にある“地域密着型特別養護老人ホーム 大樹”さんでセッションを行いました。今回はその様子をご紹介します。
音楽は人の生理的、心理的、社会的、認知的な状態に作用する力があり、音楽療法はその音楽の持つ力と人との関わりによって、クライエントの支援をしていく療法だそうです。
“地域密着型特別養護老人ホーム 大樹”さん
看板
音楽療法とは「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、 心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用す ること」と定義します。
今回のセッションの構成は“季節の曲”がキーワードで信州にまつわる曲などを用いて回想を促し、コミュニケーションを図ることを目的に組み立てられ、施設に入所されている利用者の皆さん約30名参加で進められました。
利用者の皆さんは普段3つのブロックに分かれて過ごされているそうです。このセッションは皆さんが顔を合わせる機会にもなっており、この日を楽しみにされている方々も多いそうです。
ピアノを弾く“柳澤美夏子”さん
セッションは“こんにちは”の歌を合唱して音楽の認知を高めることから始められました。
声を出すことにより、リラックスした雰囲気とコミュニケーションを深めていくアプローチができるそうです。
曲の紹介をする柳澤さん
ピアノの伴奏
発声や発語を促すため、幼いときに良く唱った秋の童謡、十代の頃に唱った歌、青春時代の頃に映画を見て唱った歌など、昭和13年から24年に作られた童謡や映画音楽、流行した曲など数曲を皆さんで唱いました。
当時を回想されているようで、最初は聞き入るだけの利用者さんも次第に歌を口ずさむようになっていきました。また、曲の合間には秋の様子を模した紅葉のモミジやイチョウの枝や、四季の葉が刺繍されたチーフ、映画に関係ある上田の名所の写真などが用いられ、回想を深めるために使われました。
紅葉のモミジやイチョウの枝
四季の葉が刺繍されたチーフ
上田の名所の写真
曲のリズムに合わせてハンカチーフを右手、左手で交互に持ち回したり振ったり、足踏みしたり、最後に投げ上げて取るなどの身体を動かすことがされました。このアプローチは身体活動を維持する目的があるそうです。
ハンカチーフで身体活動している様子
身体を動かした後は、リラクゼーションも兼ねてピアノの演奏やオカリナの演奏を鑑賞する時間が設けられていました。
音楽を聞き入る方、自然と歌い出す方、思い思いにピアノやオカリナの音色を楽しんでいらっしゃるようでした。
オカリナの演奏
意欲的に身体を動かすように利用者さん達に小さなマラカスが渡され、曲に合わせ唱いながら一緒にマラカスを振って楽しんでいました。これは脳の活性にもなるそうです。
マラカスを振って唱う皆さん
最後は“おわりの歌”を合唱し、終わりを認知して貰い、1時間のセッションは終了となりました。
利用者の方の中には「もう終わり?1時間があっという間だね、楽しかった」と笑顔で話されていたり、柳澤美夏子さんの手を握り、和やかに話しをしながら別れを惜しむ方もいました。
このセッションは月に1度開催され、その都度違ったプログラムが用意されるそうです。
“おわりの歌”を迎えて
和やかな会話の様子
【あとがき】
今回、音楽療法のセッションを取材させて頂いて、童謡から青春期の映画音楽、当時流行していた曲などで構成され、会話や身体をリズムに合わせ動かし、回想をキーワードに笑顔と心の支援をプログラムされている事に音楽療法の一端をみることが出来たように思えました。
辛いときに勇気づけてくれた音楽、楽しい想い出と重なる音楽、幸せな気持ちになれる音楽など、時として音楽は言葉を超える力を持っているように思います。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。