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酒米作って、戸沢活性化プロジェクト!

酒米作って、戸沢活性化プロジェクト!(その7[最終章])

“戸沢酒米作りプロジェクト”藁馬づくり講習会・ネジ行事・お酒完成!

酒米作って、戸沢活性化プロジェクト! 最終章

 平成30年2月に戸沢自治会の活性化を目的に発足した「戸沢酒米作りプロジェクト」は3月17日に遊休田の整備にはじまり一年が過ぎました。

 今回は最終章として『戸沢のねじ行事』そしてプロジェクトで育てられた酒米“ひとごこち”がついに念願のお酒『亀齢』(純米酒)になるまでをまとめてレポートします。

 

戸沢酒米作りプロジェクト

 戸沢自治会の活性化を目的として、酒米作りを通して国選択無形文化財に指定されている“戸沢のねじ行事”を盛り上げようと立ち上げたプロジェクトです。

 今年、平成30年2月15日に「戸沢酒米作りプロジェクト委員会」が発足され、活動プランや計画が作られスタートすることとなりました。具体的には“戸沢ブランドの日本酒を作る”、酒米のわらを使った“わら馬作り”、酒米の米粉を使った“ねじ作り”などを目的に活動されます。

また、育てられる酒米は酒造好適米水稲新品種“ひとごこち”です。 

藁馬づくり講習会

 2月2日(土)には藁馬づくり講習会が開かれました。

 2月10日(日)に行われる国選択無形文化財に指定されている『戸沢のねじ行事』に無くてはならない藁馬をつくる講習会です。

 この藁馬づくり講習会戸沢のねじ行事を守り、後世の代まで引き継いいこうと「戸沢活性化組合」の皆さんで毎年行われています。今回も地区の中心にある「戸沢公民館」が会場となり、小さな子供のいる各家庭の皆さんがそれぞれに藁を持参して参加します。

 藁馬づくり講習会の講師は宮島幸男(みやじまさちお)さんで2013年から藁馬づくりの講師を引き継ぎ、今年で7回目の指導をしました。

「藁馬づくり講習会」のレジュメ

戸沢公民館

写真中央:講師の宮島幸男さん

手順に従って藁馬が作られていく

 藁馬は大きく分けて22程の工程を順番に従って作られていきます。

 講師の宮島幸男さんは自身で丁寧にまとめた作業工程のレジュメを映し、制作過程の重要なポイントなどを解説しながら実際に手順を見せ、熱心に教えていました。

完成見本の藁馬

ポイントごとに解説する宮島さん

ポイントは映像でも

丁寧に参加者に教える様子

ひとごこちの藁で作った藁馬

 今回の講習会には「戸沢酒米作りプロジェクト委員会」事務局の牧内一浩さんも参加されていました。

 牧内さんは妹さんから依頼されて2歳になる姪っ子さんのために藁馬づくりをしたそうです。

この牧内さんの作った藁馬はプロジェクトで育てた“ひとごこち”の藁で作られました。

藁馬づくりの様子

最後に鬣(たてがみ)を揃えて

完成した藁馬と牧内さん

ミニ藁馬の製作

 この日「戸沢酒米作りプロジェクト委員会」のメンバーも参加して、長さ15cmほどの“ミニ藁馬”がたくさん作られました。

 この“ミニ藁馬”『戸沢のねじ行事』当日に戸沢公民館で売り出されました。

戸沢地区の中心にある道祖神

「戸沢酒米作りプロジェクト委員会」のメンバーの作った“ミニ藁馬”

国選択無形文化財に指定の『戸沢のねじ行事』

道祖神にお供えし、お参り

 2月10日(日)になり『戸沢のねじ行事』が始まりました。

早朝、各家庭から“ねじ”を持ち、藁馬を載せた台車を子ども達が引いて戸沢地区の中心にある道祖神に集まりはじめました。

 道祖神に着くと“ねじ”をお供えし、子ども達の無病息災、健やかな成長を祈ります。

  そこで各家庭から持ってきた“ねじ”をお互いの子ども達の成長を願い交換し合われます。

※“ねじ”を交換しあうことを「市」というそうです。

 

『戸沢のねじ行事』通年は2月8日に行われていたのですが、2月8日が休日でないと参加が難しい方々が多くそれらを考慮して、今年から2月の第2日曜日となりました。

国道144号線、真田の信号近くにある案内板

道祖神に最初に来た谷川さんご一家

道祖神に“ねじ”をお供え

藁馬を一生懸命引いて

“ハイハイ”という赤ん坊の形が“ねじ”の伝統的な形



時間が経つにつれて多くの家族が集まって

台車に載った“藁馬”

立派な“藁馬”と一緒に記念撮影

色とりどりの“ねじ”がお供えされ

“ねじ”の交換をするご家族

藁馬を屋根に

道祖神にお参りした後、再び藁馬を載せた台車を今度は家まで引きながら帰ります。

 家に着くとワラヅトをはずし、藁馬を屋根に投げ上げます。これは災いを藁馬に背負ってもらい、“天馬”となって天高く昇っていってくれるようにとの願いからだそうです。

藁馬を引いて家に帰る様子

引かれて鈴の音が響く

屋根に投げ上げられる藁馬

戸沢地区の文化祭

 道祖神祭りのこの日、戸沢公民館で『戸沢活性化組合』が中心となって戸沢地区の文化祭が行われました。

 

 戸沢地区の皆さんが作ったカゴや絵、飾り物などの作品が展示され、各家庭で色鮮やかに作られた“ねじ”も展示されていました。

 また、ねじの行事に欠かせない藁馬づくりの伝承に尽力された『戸沢活性化組合』初代講師の柳沢斎(やなぎさわひとし)氏の紹介もされていました。柳沢斎氏は前編の「藁馬づくり講習会」でご紹介した宮島幸夫さんの師匠だそうです。

 「戸沢酒米作りプロジェクト委員会」のコーナーでは活動の報告や育てられた“ひとごこち”、そして岡崎酒造株式会社で醸造される『亀齢』の紹介がされ、“ひとごこち”の藁でプロジェクトの皆さんが作ったミニ藁馬も販売されていました。また、プロジェクトメンバーの坂口芳昭(さかぐちよしあき)さんも文化祭会場の受付をしながら文化祭を盛り上げていました。

「戸沢酒米作りプロジェクト委員会」の坂口芳昭さん

(故)柳沢斎(やなぎさわひとし)氏

“ひとごこち”の藁で作られたミニ藁馬

戸沢地区の皆さんの作品

“戸沢のねじ行事”の説明

「戸沢酒米作りプロジェクト委員会」のコーナー

UCVさんの取材を受ける宮島幸男さん

宮島幸夫さんのご家庭で作った見事な“ねじ”

ねじづくり講習会

 戸沢公民館の一室では「戸沢ねじづくり保存会」の皆さんによるねじづくり講習会が開かれていました。

◆ねじの作り方

“ねじ”米粉をぬるま湯でこねて芯がなくなるまで蒸し、冷水にさらした後にこね鉢などでよくこねます。

 生地が出来たら分けてそれぞれ赤色、緑色の食紅を混ぜ色玉という固まりを作っておきます。中心にいれるあんこを予め丸めておきます。

 形成する際に生地が手にくっつかないように胡桃の油を手に塗って作業します。白と色玉を練り込みながら生地を丸く広げ、あんこを包みながら鳥や花、葉などに形成して完成です。

「ねじ作り講習会」には子ども達が多く参加して、思い思いの形の“ねじ”を楽しいそうに作っていました。

 “ねじ”の作り方(レシピ)が付いた「戸沢酒米作りプロジェクト委員会」“ひとごこち”の米粉300gが入った袋が用意されていて来場者が無料で頂いて帰れるようになっていました。

「ねじ作り講習会」の様子

思い思いの形を作る子供達

“ひとごこち”と“ねじ”のレシピ

あんこを包み丸く

竹ベラで模様を付け

雄しべを付けて完成!

ポン菓子

 戸沢公民館の前ではポン菓子がつくられ、来場者にプレゼントしていました。

 このポン菓子に使われたお米はプロジェクトの育てた“ひとごこち”です。

 

 ポン菓子は専用の機械で作られます。およそ10気圧程度の圧力になるまで熱せられ、一挙に機械の蓋を開き気圧を下げます。一挙に下がる気圧によって、お米がポップコーンのように膨らみポン菓子が出来上がります。

 蓋を開く際に大きな爆発音がします。この爆発音の擬音からポン菓子というそうです。

 

ポン菓子の機械

 

蓋を開けた瞬間

出来上がったポン菓子は水飴で絡められ

子供達に大人気

袋に小分けされたポン菓子

文化祭に訪れたご家族

酒米作って、戸沢活性プロジェクト!が参加して

 酒米作って、戸沢活性プロジェクト!として平成30年2月に発足した「戸沢酒米作りプロジェクト委員会」、実行委員長の宮島泰弘(みやじまやすひろ)さんは「戸沢の活性化のために活動してきて、今回プロジェクトとして戸沢のねじ行事、戸沢地区文化祭に関わりをもって参加できたことを本当に嬉しく思います。」と話されていました。

実行委員長の宮島泰弘さん

プロジェクトが育てた“ひとごこち”が遂にお酒に!

 2月1日(金)に上田市にある岡崎酒造株式会社「戸沢酒米作りプロジェクト委員会」が育てた酒米“ひとごこち”が酒仕込みされました。

 この日まで入念に管理された醪(もろみ)は熟成と糖化を繰り返し、圧搾機で搾られ、遂に新酒が出来上がりました。

2月26日、この新酒を瓶に詰める瓶詰め作業が行われました。プロジェクトの実行委員長の宮島泰弘(みやじまやすひろ)さんも参加し、感無量の中で瓶詰め作業をされていました。

 遂に「戸沢酒米作りプロジェクト委員会」“ひとごこち”のお酒の完成です。

新酒は岡崎酒造株式会社の銘柄『亀齢』(純米酒)として、ラベルが付けられ、販売されます。

 今回はプロジェクトで育てた戸沢の“ひとごこち”だけのお酒にはなりませんでしたが、来年は作付け面積も増やし、戸沢の“ひとごこち”だけで作られたお酒を目指すそうです。

岡崎酒造株式会社

瓶詰めを待つ瓶

瓶詰め作業する実行委員長の宮島泰弘さん

瓶詰め作業する岡崎酒造株式会社の岡崎美都里さん

岡崎酒造株式会社の『亀齢』(純米酒)

取材を終えて

 平成30年3月の遊休地の整備から“酒米作って、戸沢活性プロジェクト!”「戸沢酒米作りプロジェクト委員会」の活動を特集として取材させて頂きました。

 地域文化と伝統を守り、技を伝承し、地域を活性化していこうと頑張っている皆さんをレポートさせて頂けて「まいぷれ上田・東御」としても大変有意義でした。

 この取材に当り「戸沢酒米作りプロジェクト委員会」の皆さん、戸沢地区の皆さん、岡崎酒造株式会社の皆さん、各種報道機関の皆さん、関係各位の皆さんには大変お世話になりました。

心より感謝申し上げます。

 

 「まいぷれ上田・東御」ではこれまでのプロジェクトの活動を「酒米作って、戸沢活性プロジェクト」としてご紹介しています!

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