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上田小県地域の神社

【御歳代祭事の特集】『延喜式内名神大社 生島足島神社 御歳代(神田)の祭事』

生島足島神社の御歳代(神田)の田作りから稲刈りまでの祭事

生島足島神社には御歳代(みとしろ)といって神田(しんでん)が神社境内の西側の一画にあります。御歳代では稲が清浄に育てられ、その年に収穫されたお米は11月23日新穀感謝祭[新嘗祭]に献上され、その後のお祭りにもお供えされる御食(御饌[みけ])となります。

御歳代の田作り神事から稲刈りまでを取材させて頂きました。

※今年は新天皇が即位されて、はじめて斎行される新嘗祭(にいなめさい)は大嘗祭(だいじょうさい)となります。

 

お米と日本人

お米は太古の昔から日本人にとって重要なものとされてきました。神話に「天孫降臨」(てんそんこうりん)の話があります。

天上界である「高天原」(たかまのはら)より「天照大御神」(あまてらすおおみかみ)の命によって、孫の「瓊々杵命」(ににぎのみこと)は三種の神器(さんしゅのしんき)である八咫の鏡(やたのかがみ)・八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)・草薙剣(くさなぎのつるぎ)、地上界である日本列島を意味する「豊葦原水穂国」(とよあしはらのみずほのくに)を高天原のようにすばらしい国にするため、天降ることとなりました。その際、「天照大御神」から「瓊々杵命」は高天原のを授かり、豊葦原水穂国の人々の食物とするように命じられました。

神話をもとに昔から日本の稲作の起源が語り継がれてきました。

また、神社の社殿には伊勢の神宮に代表される神明造(しんめいづくり)があります。これは日本の原初的な高床式の穀倉(こくそう)の形から派生したものだそうです。

※伊勢の神宮の社殿は掘立柱(ほったてばしら)で萱葺き屋根(かやぶきやね)の様式で唯一神明造と称されます。

神話からも稲は日本人にとって神聖な食物であり、いかに大切にされてきたのかを知ることができます。

神嘗祭、新嘗祭、大嘗祭とは

お米を神様に献上するお祭りは非常に重要な祭事になります。

 

神嘗祭(かんなめさい)

神嘗祭はその年に収穫された初穂を「天照大御神」に献上し、五穀豊穣に感謝するお祭りです。

 

新嘗祭(にいなめさい)

」は新穀(初穂)、「」は御馳走を意味し、「天照大御神」をはじめとしてすべての神様に新穀をお供えして、神様の恵みによって新穀を得たことを感謝するお祭りです。

新嘗祭(にいなめさい)または(しんじょうさい)と呼ばれ、2月17日に行われる祈年祭(きねんさい)に対して、11月23日に行われるお祭りです。

※新嘗祭の日を現在では「勤労感謝の日」と呼び名が変わり、休日となっています。

 

大嘗祭(だいじょうさい)

新天皇が即位されはじめて斎行される新嘗祭を大嘗祭といいます。

 生島足島神社 御本社(春)

御歳代田作り(みとしろたづくり)

令和元年6月25日に生島足島神社御歳代の田作りをする御歳代田作りが執行されました。

定刻になり、御歳代御仮殿(みとしろおかりでん)の前にて神事の始まりを告げる太鼓が打たれ、田作り神事が始まりました。

 

池内禰宜から神事の始まりが告げられ、御仮殿、神田、田作りに使用する道具、氏子の皆さんに修祓(祓い清め)が行われました。

御歳代御仮殿

御歳代

神事の始まりを告げる太鼓

祓い清められた農作業道具を手にして氏子総代の方々が神田を耕しました。

田作りが終わると神田の神域を紙垂の付いた縄を張る柱に修祓で使われた大麻(おおぬさ)が杭に取付られました。

神事の締めくくりに太鼓が打たれ、御歳代田作りは終了となりました。

修祓(農作業道具)

修祓(氏子の皆さん)

御歳代を耕す様子

大麻を取付ける様子

取付けられた大麻

終了を告げる太鼓

御歳代種蒔神事並祇園天王降御祭(みとしろたねまきしんじならびにぎおんてんのうおろしのみまつり)

令和元年6月30日に御歳代に籾種を蒔く御歳代種蒔神事祇園の神々が神の世から降りてこられる祇園天王降御祭が斎行されました。

祇園天王降祭は御歳代御仮殿(みとしろおかりでん)に祇園の神々

建御名方富命(タケミナカタトミノミコト)

建速素戔嗚命(タケハヤスサノオノミコト)

豊受姫神(トヨウケヒメノカミ)

若宇加能賣能命(ワカウカノメノミコト)

大年神(オオトシノカミ)

岡象女神(ミツハノメノカミ)

御年神(ミトシノカミ)

がこの日から御歳代御仮殿に鎮座され、祇園祭の最終日(今年は7月29日)に神々の世にお還りになられます。

 

【祇園天王降祭】

御歳代御仮殿の前にて修祓が行われたのちに御歳代御仮殿の扉が開かれて祝詞が奏上されました。

献饌が行われ、同時に神田に蒔かれる籾種が神前に奉られました。

 

所定の場所に着く

一拝

修祓

祝詞の奏上

献饌

籾種が神前に奉られる様子

【御歳代種蒔神事】

祝詞が奏上されたのち、籾種は池内禰宜から宮川宮司に渡され、御歳代に蒔かれました。

無事に籾種が蒔かれ、撤饌の後、玉串が奉られ、御歳代種蒔神事並祇園天王降御祭は斎行されました。

祝詞の奏上

御歳代に蒔かれる籾種

玉串を奉る

御歳代植苗祭(御田植神事)並祇園祭(みとしろしょくびょうさい 《おたうえしんじ》ならびにぎおんさい)

令和元年7月29日に御歳代植苗祭(御田植神事)並祇園祭が斎行されました。

 

【祇園祭】

修祓が行われ、下宮(摂社諏訪神社)より猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)の旗を先頭に四神旗御鉾、御盾が列び、池内禰宜が「遷御」「遷御」「遷御」と三回発声を繰り返され、警蹕(オーという言葉)をあげられ、金幣(きんぺい)とともに行列は御歳代御仮殿に遷られました。

 

・祇園祭の起源は貞観の時代に京の都に疫病が流行したころに由来するそうです。

夏は特に食物が傷みやすかったり、水も悪くなる時期でもあり、いろいろな流行病や伝染病なども発生しやすい時期でもあります。現代のように医療が発達していなかった昔では夏のこの時期に厄災に遭わぬように祇園の神々を迎え、厄災の除去を祈願したそうです。

下宮(摂社 諏訪神社)

御歳代御仮殿に遷る行列

御歳代御仮殿にて

御歳代御仮殿に着き、献饌が行われ、苗が奉られ、祝詞が奏上されました。

奉られた苗

祝詞の奏上

池内禰宜より宮川宮司に苗が渡される

【御田植神事】

御歳代御仮殿に遷座後、池内禰宜より宮川宮司に苗が渡され御歳代に植えられました。

御歳代御仮殿にて玉串拝礼を宮川宮司をはじめとする神職の方々及び氏子総代の方々、自治会長が行い。撤饌が行われ、昇神がされました。

撤饌の後、下宮(摂社諏訪神社)へ行列は還り、御扉が閉じられ、一拝されて御歳代植苗祭(御田植神事)並祇園祭は斎行されました。

御歳代に苗が植えられる様子

玉串拝礼

下宮(摂社諏訪神社)にて一拝

面神事 (たのもしんじ)

令和元年9月1日に田面神事が執り行なわれました。

この神事は生島足島神社の周りに位置する昔の氏子区域の境にある田んぼに幣串(へいぐし)を立て、稲が害虫などの被害に遭わず、すくすくと育ち豊作であるように、人々が流行病や伝染病などに遭わずに無病息災で過ごせるようにと祈願する神事です。

※弊串は神札の付いた串

生島足島神社御本社にて神様に献饌をし、祝詞が奏上され、玉串拝礼をし、一拝ののち、弊串が下げられました。

池内禰宜による神事の始まりの言葉

玉串拝礼

神前より弊串が下げられる様子

弊串

弊串を立てる池内禰宜

立てられた弊串

弊串とともに宮司、禰宜、氏子総代の方々は生島足島神社を出発して、昔の氏子区域にある6ヶ所の田んぼに弊串を立て、一拝して回ります。

一行は最後に生島足島神社御歳代弊串を立て一拝し、執行となりました。

一拝する様子

御歳代に立てられる弊串

御歳代にて一拝

御歳代稲刈り・抜穂(みとしろいねかり・ぬいぼ)

令和元年10月13日に御歳代稲刈りが執行されました。

今年も生島足島神社御歳代の稲は撓わに実りました。

御歳代御仮殿の前にて神事の始まりを告げる太鼓が打たれ、池内禰宜から神事の始まりが告げられたのち、御仮殿、神田、田作りに使用する道具、氏子の皆さんに修祓(祓い清め)が行われました。

撓わに実った稲穂

始まりを告げる太鼓

一拝

宮川宮司が御歳代の稲を根の付いた状態で抜く抜穂(ぬいぼ)を行い、続いて鎌によって稲が一株、刈り取られ神前に奉られました。

根の付いた状態で抜かれた稲(抜穂)

鎌によって刈られた稲

稲が神前に奉られる様子

残りの稲は氏子総代の方々が刈り取り、整えられた稲束は稲架(はざ)かけがされました。

最後に太鼓が打たれ御歳代稲刈りは執り納めとなりました。

稲を刈る氏子総代の方々

刈り取られた稲

稲架かけされた稲

終了を告げる太鼓

神前に奉られた稲

整えられた抜穂

6月25日に田作りがされて約4ヶ月後の10月13日に御歳代の稲は収穫されました。

同じくして、上田小県の地の稲も順調に育ち今年も多くのお米が収穫されました。

11月23日には令和の最初年に収穫された新穀を神さまに捧げ、その年の収穫を感謝する新穀感謝祭(新嘗祭)が斎行されます。

生島足島神社の紅葉

秋も深まり、生島足島神社の境内にある樹木は静粛の中に艶やかに紅葉していました。

・手水舎の横に『延喜式内名神大社 生島足島神社』恒例祭の案内板が設置されています。

一年を通じてどのような祭事や神事、式が行われるかを知ることができます。

 生島足島神社 恒例祭の案内

 境内の案内図

名称  延喜式内名神大社 生島足島神社
住所  長野県上田市下之郷中池西701
連絡先  0268-38-2755